革靴用ロシアンカーフ(風)の種類をまとめてみました

 近年流行の兆しがあるロシアンカーフ(風)レザーのタンナーごとの特徴をまとめてみました。



まず、オリジナルのロシアンカーフ

画像はebayより ジョージクレバリービスポーク 

ロシアンカーフをホールカットで使用した贅沢なモデル


wikiより

トナカイ(レインディア)の原皮を、帝政ロシア当時の伝統的ベジタブルタンニン製法でなめし、耐久性、撥水性に富んだ皮革に仕上げてゆく。
その後、木製の型押しブロックで独特の模様(トランプのダイア柄のような菱形パターン)を施す。
これを製品材料として使用するにあたっては、更に2 - 3ヶ月掛けて白樺オイル等の仕上げ剤で加工を行う(ロシアンカーフ特有の匂いと呼ばれるものは、仕上げに用いるオイル他の仕上げ剤のよるところが大きいと思われる)。


1786年に沈没した船から引き揚げられた幻の革。長い間海底にあってもその品質を保てるという革の性質にも驚きです。

さすがに引き上げられた革全てが革製品として加工できる状態にあったわけではないので、

このようなホールカットシューズは幻中の幻といっても過言ではないと思います。



さてこのロシアンカーフですが、いまではそれを再現すべく多くのタンナーがロシアンカーフ風の革を製作しています。

その中でも特に人気があるものを紹介します。



■HORWEEN HATCH GRAIN

JOEWORKS JOE-0

厚みがあり、光沢が乗りやすく、革靴と相性の良い革です。

やや弾力というか硬さがあるので、履き心地は少し硬くなります。

特別雨に強いわけではないようですが、水分がしみこみにくいので、

多少の雨であれば家に帰って乾拭きしてあげれば大丈夫です。ケアがとても楽な革です。


一方で原皮の品質にムラがあるのか、段ボールを折ったような大きな皺が入ってしまうことがあります。


GAZIANO&GIRLING、JOEWORKS、Cornobluなどアッパークラスのメーカーが使用しており

今このジャンルの中では一番人気があるといっても良いのではないでしょうか。


GAZIANO&GIRLING OXFORD MH71 

殆ど流通していませんがホーウィンお得意のコードバンを使用したハッチグレインも存在します。

普通のコードバンのようなテカリはありませんが、独特のヌメるような光沢感は健在です。厚みもあります。

個人的には通常のコードバンよりこちらの方が好きです。

MTOアップチャージがえらいことになりますが、この革は本当に良いのでお勧めです。





■HAAS UTAH CALF

EDWARD GREEN  GRESHAM 82E


フランス北東部アルザス地方に存在する老舗タナリー、アース社のユタカーフ。

アース社はエルメス等にも皮革を供給した実績のある、ハイエンドタナリーです。

特徴はとても薄く、菱形のパターンも他と比べて繊細です。色によっては人間の皮膚のようにも見えてしまいます。

薄いといっても多量のオイルを浸み込ませているので、雨にも強く、丈夫な革です。


原皮の質は良く、薄いながらも靴の材料として適していると思います。

エドワードグリーンが採用していることからも、その品質は折り紙付きです。




■J.& F.J.Baker & Co.Ltd Russian calf

HERMES HPより


英国の有名タンナー、ベイカー社が開発したロシアンカーフ。

白樺、柳、樫と3種類の樹皮を使用してじっくりとなめしたベジタブルタンニングレザー。

両面に白樺のオイルをたっぷりと染み込ませ完成させます。

当時のオリジナルレシピを研究し、オリジナルに近い質感を再現していると言われています。


この革の特徴はなんといっても匂いがきついことです。スコッチウイスキーの香りがすると表現されていますが、

そんな優雅なものではなくもっとキツイものです。

菱形のパターンが非常にくっきりしていて、男らしさが感じられます。

クロケット&ジョーンズなどで採用されています。

そして何よりエルメスがヴォリンカという名称でこの革を採用しています。カバンに使って、匂いは大丈夫なんでしょうか。。。




■ANNONEY Alcazar


画像無くてすみません。

フランスを代表するタナリー、アノネイ社にもアルカザールというロシアンカーフが存在します。

型押しの原版が崩れてしまっているため現在は廃盤となっているそうです。

大阪のBONTAで少量ストックがあるようです。







コサック兵が撥水性を高めようとブーツを白樺の樹皮に擦りつけたことが起源とされるロシアンカーフ。

200年海底にあっても耐え、今もなお幻の革として持て囃され、オマージュする製品が生まれていることにロマンを感じてしまいます。











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